先輩医師メッセージ
先輩からのメッセージをお読みください
医師人生のスタートに素晴らしい学びを
番場誉
1990年 信州大学卒
長野中央病院
医師になって最初の2年間を臓器や科の壁を横断する形で経験できる臨床研修は、その後の医師人生の中で二度と味わうことのできない素晴らしい学びです。そしてそれを有意義なものとするには、単に学生時代のような「見学者」ではなく「医師として患者の診断や治療、改善と癒しに向き合う」という姿勢があってこそです。自分から患者に近づき、問題点を掘り起こし、解決策を提示する、そんな医師らしい関わりで学んでこそ臨床研修の本来の目的が達成させられると肝に命じてください。私たちのような地域で患者とその生活に直に結びついている現場での学びは、そんなみなさんの学習意欲に応えられる素晴らしいものだと確信しています。多くのコメディカルと協力し共に成長し合う、そういうコンパクトな環境も魅力です。もちろん、第一線医療での臨床研修は決して楽ではない学びの場です。しかし、だからこそ、失敗を恐れずに、でも失敗のない基礎的な医師力を、地域の中規模病院の医師である私たち、総合医と専門医の中で吸収し身につけてください。
良い研修は、良い学生生活から
酒井慧
2014年 日本大学卒
松本協立病院
学生生活で大事にしてほしいことは、「何のために・誰のために医療をするのか」といった自身の生き方を考えることです。医師になると診療科やキャリア形成について選択を迫られますが、それを決定する根幹は生き方にあると思うからです。それを考えるためには自分の意見を持ち、多様な価値観に触れることが何よりも重要です。私は民医連の医学生のつどいや医学生ゼミナールなどを通じて、こどもの貧困や発達障害という問題に出会いました。困難を抱えるこどものために生きていきたいと思うようになり、研修先の選択にも大きく影響しました。長野県民医連の研修を選んだのは、やりたいことを応援してくれる医局の雰囲気や積極的な活動をみて、自分のやりたい医療に挑戦できると感じたからです。初期研修では幅広い知識・技術を学ぶことはもちろん、多くのことに向き合う自分らしい研修ができました。今も充実した小児科研修生活を過ごしています。症例数や設備も研修先選びには大切ですが、生き方を考えそれに合った自分らしい研修ができるということも不可欠な要素だと実感しています。良い研修は良い学生生活からはじまります。楽しく充実した学生生活を送ってください。
女性医師が安心して働けるところ
鈴木直美
1993年 京都大学卒
松本協立病院
現在女子医学生は30%を超える比率になっており、医師国家試験の合格者の中でも女性の割合は30%を超えています。しかし、結婚・妊娠・出産に伴って仕事が続けられなくなることで、実働の医師数が減っている現状があります。女性医師は大学卒業時点では男性医師と同じ93%程度の就業率ですが、その後就業率が徐々に低下し、35歳では76%まで低下します。その後徐々に上昇し、45歳には80%台半ばまで戻りますが、男性医師に比べると低い就業率が、医師不足の一因になっていると考えられます。
「働くひとびとの医療機関」である民医連では、女性医師の働きやすい環境を整える努力をしています。キャリアアップのため何とかやりくりして常勤で働き続けたい医師も、家庭に重点を置いて非常勤で少しゆとりを持って働きたい医師も、一人一人の希望に応じて、働きやすい環境をともに考えます。基本にあるのは、全ての医師が働きやすい環境を整える、という考え方です。女性医師のできない仕事を男性医師が肩代わりするという関係ではなく、男性医師も働きやすい環境をともに作り上げる関係を目指しています。