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消化器内科後期研修プログラム
はじめに
消化器疾患は対象とする臓器の多さ、症例数の多さと、全ての人から発生するという特徴からどんな医師でも一定の知識と初期対応が求められる分野です。それ故、その専門性は診療所及び中小病院ではあまり必要とされなかった時代もあります。しかし、消化器分野の医療内容、医療技術も格段の進歩を来たし、より高い専門性が求められるようになってきました。さらには健診・人間ドックから、急性期対応、慢性疾患管理、ターミナルケアまでトータルに診て行く姿勢も求められています。同時に、消化器疾患へのアプローチである内視鏡をはじめとした検査、治療技術は直接患者さんに侵襲を加えるという点からもその技術を一定のレベルに保つ努力も必要となります。
治療技術も大切ですが、疾患の正確な診断は治療を適切に行なう上で何よりも大切であるため、消化器内科としての初期研修としての期間は消化器疾患に対する各種診断技術の手技習得には重点を置き、その後治療手技の習得を行なっていきます。
消化器内科では、上記特徴をふまえ、下記の様なプログラムでより広く、一定のレベルを身につけ、中規模病院、重装備診療所で求められる消化器内科医を養成する事を目的とします。
1.研修施設
- 長野中央病院(内科学会教育病院、消化器内視鏡学会指導施設、がん治療認定医機構 研修施設)
- 松本協立病院(内科学会教育関連病院)
- 健和会病院(内科学会教育関連病院、消化器内視鏡学会指導施設)
2.実績(長野県民医連全体)
- 日本消化器内視鏡学会指導医 1名
- 日本消化器内視鏡学会専門医 10名
- 日本消化器集団検診学会認定医 1名
- 過去3年間の学会発表 53題(研究会、地方会、全国学会含む)海外1題
- 過去3年間の論文掲載 4誌 海外1誌
- 研修年数 3年
3.受け持つべき症例
- 食道癌
- マロリーワイス症候群
- 逆流性食道炎
- 食道静脈瘤
- 胃癌
- 急性胃粘膜病変
- 出血性胃潰瘍
- 胃静脈瘤
- 胃粘膜下腫瘍
- 出血性十二指腸潰瘍
- 急性肝炎
- 慢性肝炎
- 肝硬変
- 肝細胞癌
- 転移性肝癌
- 急性膵炎
- 慢性膵炎
- 嚢包性膵疾患
- 膵癌
- 自己免疫性膵炎
- 膵石症
- 胆管癌
- 急性化膿性閉塞性胆管炎
- 総胆管結石
- 急性胆嚢炎
- 胆嚢結石症
- 胆嚢癌
- 小腸腫瘍
- 大腸癌
- 虚血性大腸炎
- 薬剤性大腸炎
- 細菌性大腸炎
- 大腸腺腫
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 腸閉塞
- 大腸憩室症
4.獲得すべき手技
- 腹部超音波検査
- 上部消化管内視鏡検査
- 下部消化管内視鏡検査
- 拡大内視鏡検査
- 超音波内視鏡検査
- 上部消化管造影検査
- 下部消化管造影検査
- 小腸造影検査
- 低緊張性十二指腸造影検査
- 逆行性小腸造影検査
- 内視鏡的逆行性胆管膵管造影
- 腹部血管造影検査
- 出血性病変における内視鏡的止血術
- 経皮経肝的胆嚢ドレナージ術
- 大腸ポリペクトミー
- 経皮経肝的胆道ドレナージ術
- 内視鏡的乳頭切開術
- 内視鏡的乳頭バルーン拡張術
- 内視鏡的経鼻経乳頭的胆道ドレナージ術
- 内視鏡的逆行性胆道ドレナージ術
- 内視鏡的截石術
- 内視鏡的粘膜切除術
- 内視鏡的胃瘻造設術
- 内視鏡的静脈瘤結紮術
- 内視鏡的静脈瘤硬化術
- 超音波下肝生検
- 腹腔鏡検査
- 動脈塞栓術
- ラジオ波焼灼術
- 狭窄性病変に対する内視鏡的バルーン拡張術
5.見学、経験すべき手技
経皮経食道的胃瘻造設術
内視鏡的切開剥離術
腹腔静脈シャント術
経皮的動注カテーテル留置術
バルーン下逆行性経静脈的硬化術
6.具体的なスケジュール
2年間の臨床研修を終了したのち、個人の希望により最初の院所を決定します。希望者が多い場合にはその都度相談。どの院所にも内視鏡学会専門医が常勤としており、全ての分野での一定の研修が可能ですが、3院所それぞれの特徴もある為、可能であれば3院所を経験する事が望ましいと考えます。その場合には、個々の希望をもって決定します。
長野中央病院(322床)
早期胃癌の診断と治療、膵胆道疾患の診断と治療が特徴。
松本協立病院(199床)
大腸疾患の拡大内視鏡検査による診断と治療、進行肝腫瘍に対する動注化学療法などが特徴。
健和会病院(199床)
慢性肝疾患の症例数は多く、特殊な肝疾患等も経験出来ます。
1年目 | 受け持ち症例の精査に責任を持ちつつ関連検査手技の獲得を目標にします。 地方会レベルの学会発表を行ないます。 |
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2年目 | 受け持ち症例の精査、加療に責任を持ちます。 治療手技を経験開始し指導医の下でレベルアップを図ります。 |
3年目 | 緊急対応も含め、指導医の下で個々の症例のマネージメントに責任を持ちます。 |
3年間の研修によって、消化器内科医として基礎は獲得出来ます。それらの評価、研修スケジュールの変更等は年2回以上行われる県連消化器内科部会においてなされます。3年の研修終了後は、県連の状況と本人の希望を加味し、院所の消化器内科スタッフとして参加し、さらに研修を積まれる事が望ましいと考えます。消化器内科医としてほぼ独り立ち出来る為には少なくとも5年は必要と考えています。その間、もしくはその後、必要に応じて専門研修として原則1年間が保証されます。専門研修後の対応等、詳細は県連規定によりますが、原則的に上記3院所以外も含めたいずれかの県連内院所で、消化器内科担当医として共に長野県民医連の発展に寄与していただきたいと思います。
7.身分、保障など
県連各院所の常勤医。給与、学会参加規定等は所属院所の規定によります。通常年2回の学会参加は出張として院所負担で保証されています。
8.専門医取得について
日本消化器内視鏡学会については現在長野中央病院が認定施設であり、日本内科学会認定医取得と合わせ、専門医取得可能となっています。
9.おわりに
現在の社会情勢の中で、私たちの院所を「生命と健康を守る最後の塞」として期待している方は益々増えて来ています。そのような方々に充分な医療を提供出来るべく消化器内科グループでは日常診療、学会発表や論文投稿も含め、日夜研鑽に励んでいます。その仲間となってより良い医療を共に目指していける事を切に願っています。
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